ホデミと倭直・阿曇連

『記』イザナキ神話に、「阿曇連等は、其の綿津見神の子、宇都志日金析命の子孫ぞ」とあります。

『姓氏録』では、右京神別下に「安曇宿禰 海神綿積豊玉彦神の子、穂高見命の後なり」、河内国神別に「安曇連 綿積神命の児、穂高見命の後なり」とあります。

「綿津見(綿積)(わたつみ)神」は、「海神」とも表記されるように海の神であり、海上交通を生業とする阿曇連の特性を示しています。

『記』『紀』海幸山幸神話では、「海神」が重要な役割を果たします。

ホデミ(山幸)がなくしたホスソリ(海幸)の釣り鉤を探し出し、さらに、呪言と塩盈珠・塩乾珠を授けたことで、ホデミはホスソリに勝ち、海神の娘、豊玉姫を妻とします。

『紀』神代紀10段一書第1に、「海神」は「海神豊玉彦」「豊玉彦」とあり、阿曇連の祖神「海神綿積豊玉彦神」を示し、阿曇連とホデミが深い関係にあることがわかります。

『記』『紀』伝承の様々な場面で、阿曇連とペアで行動する倭直についても、やはり、ホデミとの関係がみられます。(→ 「渟名川」と倭直・阿曇連)(→ 坐摩神と倭直・阿曇連)(→ 住吉仲皇子と倭直・阿曇連)

「国造本紀」冒頭の神武東征の記述において、海上に倭直の祖椎根津彦が現れ、次のように「ホデミの孫」を名乗ります。

天孫問。汝誰哉。

対曰。吾是皇祖彦火々出見尊孫椎根津彦。

目次