ホムツワケ、アジスキタカヒコネ、スサノヲの描写の類似が指摘されています。
ホムツワケは、『記』『紀』に次のように記されます。
是生年既に三十、八掬髯鬚むすまでに、猶泣つること児の如し。
常に言はざること、何由ぞ。
『紀』垂仁紀23年9月条
是の御子、八拳鬚の心前に至るまで、真事とはず。
『記』垂仁記
『出雲国風土記』に、アジスキタカヒコネは次のように記されます。
御須髪(みひげ)八握に生ふるまで、昼も夜も哭き坐して、み辞通はざりき。
『出雲国風土記』仁多郡三沢郷条
スサノヲは、『記』『紀』に次のように記されます。
八拳須(ひげ)心前に至るまで、啼きいさちき
『記』
年已に長いたり。復八握鬚髯生ひたり。
然れども天下を治さずして、常に啼き泣ち恚恨む。
『紀』神代紀第5段一書第6
3者はいずれも「髯が生える年齢になっても泣いている」と記されます。(佐伯有清『新撰姓氏録の研究 考証篇第三』1982年、247~248頁)
「出雲」と深く関わる点も共通し、人物造型の題材が同一の可能性があります。