土佐国土佐郡の葛木男神社・葛木咩神社

『延喜式』神名帳の土佐国土佐郡に、葛木男神社・葛木咩神社がみえます。

葛木男神社は、高知県高知市の国分川右岸、布師田山の北東麓の西谷に鎮座し、葛木咩神社は、国分川対岸の字下附に鎮座していましたが、1972年に葛木男神社に合祀されました。

当初は、字下附の地に、葛木男神社・葛木咩神社が並んで祀られていたと伝わります。

2社の鎮座地の小字の「布師田」は、『姓氏録』に、葛城襲津彦後裔氏族としてみえる、布師(布敷・布忍)首・布師臣と関わるものとされます。

また、『和名抄』の土佐国安芸郡布師郷(高知県安芸市井ノ口)も、同様の性格をもつ土地と推測されます。

土佐国の太平洋岸における、葛城襲津彦の拠点は、大和葛城より、紀ノ川経由で、紀伊湊に出て、そこから日向灘沿岸へ渡海する中継地ではないかと思われます。

◇ 葛城襲津彦の娘で、仁徳の后である磐之媛が住んだ山城国綴喜に、大隅隼人の集住が認められるのは、このことに関わるか。(→ 葛城襲津彦女磐之媛と山城国綴喜郡

◇ 大和葛城から紀ノ川経由で土佐へ至る当該交通網は、事代主神後裔氏族による交通網と重複している。(→ 三嶋溝橛耳と事代主神後裔氏族

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