『旧事紀』「天孫本紀」に次のようにみえます。
天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊、亦名天火明命、亦名天照国照彦天火明尊、
亦云饒速日命、亦名膽杵礒丹杵穂命
「天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊」の亦の名は、「天火明命」「天照国照彦天火明尊」「饒速日命」「膽杵礒丹杵穂命」であると書かれています。
「天火明命」「天照国照彦天火明尊」は、尾張連の祖神ホアカリ(火明)であり、「饒速日命」は、物部連の祖神ニギハヤヒです。
「天孫本紀」では、ホアカリとニギハヤヒが習合した神「天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊」と「天道日女命」のあいだに生まれた「天香語山命」から発する尾張連の系譜と、「天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊」と「御炊屋姫」のあいだに生まれた「宇摩志摩治命」から発する物部連の系譜が書かれています。
天道日女命 ├───天香語山命───天村雲命──・・・(尾張連系譜) 天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊 ├───宇摩志摩治命──味饒田命──・・・(物部連系譜) 御炊屋姫
ホアカリとニギハヤヒを同神とし、さらにイキシニホという馴染みのない神も同神とすることは不可解ですが、因幡国の伊福部臣の系図『因幡国伊福部臣古志』にも同様の観念がみえます。(→ 『因幡国伊福部臣古志』とイキシニホ)
『姓氏録』に、イキシニホ後裔氏族が2氏記載されています。(→ イキシニホ後裔氏族)
◆ イキシニホの問題を包括的に知りたい方は、「イキシニホをめぐる問題点」をご覧ください。